<鋳薔薇と女子高生の甘い罠 第2話>
「何を勝手な事、言っている!」
「俺はカナリヤ女子学園の門の前で待ってる。」
「お前、ふざけるな!それは有り得ない!」
「俺はただ、自分の考えを述べただけだ。」
「だ・か・ら、それを卑怯だって言うんだよ!」
「何とでも言え!俺は嫌ものは嫌なんでね、そういう事は2度と頼まれたって、やらないって俺は決めたんだ。」
「何なんだよ、それは!?」
輝は小狼の発言に憤慨する。
「えっ、あ、あの、それは、・・・お、俺の過去に嫌な事が遭ったんだよ。所謂、黒歴史って奴が!」
小狼は輝に言われ、動揺する。
「だからって、・・・」
「いや、その理由は聞かないでくれ!」
「そんな事、僕の知った事じゃないわ!それは劇で、お姫様の役をやったらしいじゃないか。」
輝は怪しげな笑みを浮かべながら、嫌味ったらしく言った。
「な、何故、それを!?大道寺の奴がバラしたんだな。許さないぞ!」
(なっ、何なんだよ、こいつは!?一々、気に障る事言いやがって、俺がお前に何をしたって言うんだよ!)
小狼は輝に言われ、怒りを露にする。
「そんな事、言われても困る!」
「お前はあの事をバラしても良いんだな?」
「ん?あの事って?」
(甘い物は卒業するって言って、嘘を吐いた事か?)
「惚けるな!あの人と良からなぬ関係だって事をバラされたくないだろ?」
「い、いや、それは違う!何の事か、さっぱり分からないな!」
「何が違うんだ!事実だろ!」
「ち、違う!誰がそんな事を言ったんだ?」
「自分で言った癖に!しかも、証拠は有る。頻繁にあの人の家に行ってる事は俺は知ってるんだぞ!それでもまだ、しらをきる気か!往生際が悪いぞ、お前!」
小狼は輝に証拠の携帯電話の写真を突き付けた。
「着けてたのか。この卑怯者め!」
「何とでも言え!俺が悪かったって、言ってるだろうが!」
小狼は不貞腐れた顔で言う。
「何だよ、その態度は?それで、謝ってるつもりか。し、しかも、さっきのはそれは皆知ってるから。多分、だけど。」
「へっ?そうなのか?」
「つばきさんがその、バラしたんだ、多分。って、そんな事はどうでも良えわ!アンタは肝心事を忘れてないか。大道寺さんは家に居ないと思うぞ。」
「どうして、そんな事がお前に判るんだ?」
「彼女は今頃、カナリヤ女子学園だろうよ。」
「そ、そうか。そうだった。俺とした事が忘れてたなんて!大道寺のあの性格なら、有り得る話だな。だったら、あの人なら、きっと、・・・」
「つ、つばきさんに?いや、どうして、あの人の所へ、行かないといけないんだよ?」
「他はそれしか思い付かなかった。」
「特別に、うちが許可するわ。」
「お、お祖母様!?」
「夕霧さん、どうして?」
輝の祖母が突然、やって来て、2人は驚いた。
「お、お母様、それはなりませんわ。」
時雨事、百合根は自身の母親を慌てて、止める。
「ゆりね!貴女は引っ込んでなさい。いつかはバレる事なのですよ。」
「いくら、お母さんでも、私は絶対に、許しません。こんな事は間違っています。」
「お黙りなさい。あちらには私が連絡をしておきます。貴方達は気にせず、行ってらっしゃい。」
「有り難うございます。」
小狼は夕霧にお礼を言った。
「あきら!貴方はこちらに、居らっしゃいな?」
「どうしてですか、お母様?」
「私が服を用意してあげます。」
「えっ!?そんなの良いです。」
「あら、私の言う事が聞けないって、言うの?」
時雨は無理矢理、輝を連れて行った。
「なっ、何なんだ、あれは!?俺の苦労は一体、何だったんだよ。」
「あら?貴方は着替えなくても、良いのかしら?」
「お、俺はそういうのは、・・・結構です。」
(俺は顔が濃いから、絶対に、バレる。)
「あら、そう!」
夕霧は残念そうに答えた。
数分後、輝は小狼の目の前に姿を現した。小狼は彼の格好を見て、驚いた。
(いつ、夏の制服を用意したんだ?しかも、それをどうやって、手に入れたんだ?)
小狼は困った顔で、頭を抱えている。
3へ続く・・・。
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