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 <彼女の好きなところ>の番外編の<鋳薔薇と女子高生の甘い罠>を更新します。

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<鋳薔薇と女子高生の甘い罠 第1話>

 彼は1週間前、カナリヤ女子学園へなんて、絶対に、頼まれたって、誰が行くものかと言っていた癖に、昨日になって、何で、考えを変えたんだろう。すっごく気になるんだけど、一体、どうしたっていうんだ。で、先程、彼は僕の考えが変わるまで、僕の家に居ると言い出し、今に至る。正直言って、僕としては迷惑なんですけど。僕は絶対に、あんな所、行くもんか。

「どうか、お引取り下さい。僕は考えを変えるつもりは全く、無いです。」
「雨寺!どうしても、考えを変えないつもりなのか。実はな、例の女子校にさくら達が体験入学に行って、俺はそれがどうしても、心配で心配でしょうがないんだ。それでも嫌なら、お前はとんでもない薄情者だな。俺は正直言って、お前を見損なった。」
「そんな個人的な理由で・・・」
「藤堂が幾ら、嫌いだからと言って、お前は心配じゃないのか?」
「・・・僕の知った事じゃない。」
(実はこれは使いたくなかったが。)

 李君は居間を出て行こうとする僕を強引に牽き止める。

「お前は俺の友達じゃないのか。そんなの酷いじゃないか。」
(これは山崎が都合が悪くなるとよく言葉だけど。)
「李君、いっ、たいなぁ!何て事するんだ。」
「それはお前が悪いんだぞ。この卑怯者!」
「何とでも言え!」

 そこへ、物凄い物音に気付いて、輝の母の時雨が怖い形相でやって来た。

「アンタ等、いい加減にしよし。今、隣の部屋でお客様が居るさかい。喧嘩するんやったら、他所でおやり。」
「すみませんでした。」
「解れば宜しい。けど、今日じゃなくても、別に良かったんちゃうの?」
「でも、今日じゃないといけないです。」
「そやかてな、幾ら、知り合いの子の事が心配やからと言うて、大の男の子が女子校に行くとか、正気じゃないのは勿論、判ってはるんでしょうね、李さん?」

 時雨は輝と同じ灰色の瞳を血走りながら言った。

「それは勿論、承知の上での事です。ですが、それを先に仰られたのは雨寺の従姉の露茄(つゆな)さんの方なんですよ。」
「つゆな!?はぁ、あの子が言ったんか。だからと言ってな、うちはこの子をあんな危ないとこに行かせる訳にはいかんな。」
「そこを何とか、なりませんか?」
「それは無理やな。この問題は露茄ちゃんが解決しなあかん事や。」
「そうですか。では結構です、俺が独りでやるんで。」
「貴方の親はどう思うでしょうね。」
「多分、失望するでしょうね。」
「だったら、止めるの今の内や。勿論、アンタもやで。」
「・・・勿論、判ってます。お母様は僕を信用してないの?」
「はなっからしてないわよ。どうせ、口ではそう言ってるけど、行くつもりでいるんやろ?」
「い、行かないよ。」
「・・・そう。それなら、良えんやけどな。」

 時雨は言うと、居間を出て行った。

「しぐれ姐(ねえ)さんいや、百合根(ゆりね)姐さん!子供相手にちょっと言い過ぎなんじゃありませんか?」

 女の人は黄色い声で、時雨に言った。

 百合根という名前は時雨の本名らしい。

「お黙りなさい、すみれ!」
「百合根姐さんはもしかして?過去のあの事をまだ、気にしてらっしゃるんですか。」
「すみれ!元はといえば、貴女が悪いんじゃない!それに、・・・その名前はもう、とっくに捨てました、良い思い出が無いから。もう2度と、その名前で呼ばないで頂戴!」
「えぇっ~!?私的に、良い名前だと思うんですけど。だって、勿体無いじゃないですか、親が折角、付けて下さったのに。」
「用が済んだのなら、もうお帰りなさい。」
(すみれったらもう、面倒臭い子。)

 時雨はすみれに対して、厭(あ)きれ返っている。

「百合根姐さんは私に対して、昔から、意地悪ですよね。しょうがないですね。一先ず、今日の所は帰ってあげますよ。」
「もう2度と来ないで!」
「フフフッ!百合根姐さんは本当に、照れ屋さんなんですから!また来ます。」

 すみれは嬉しそうに帰って行った。

「今、出て行ったあの人は今村のお母さんのすみれさんじゃないのか!」
「あぁ、そうだな。聞き覚えのある声だと思ったんだ。」
「全く、親子そろって変な人だ。」

 小狼は呆れた顔で言った。

「あぁ、そうだな。しかし、僕はうちの母親の名前は今まで、時雨が本当の名前だと思っていた。」
「雨寺!俺も、実はそうだと思ってた。」
(一体、時雨さんに何が遭ったっていうんだ?まさか、カナリヤ女子学園の件が関係しているんだろうか?)

 小狼は顎に手を当てて、考えている。

「時雨さん達は絶対に何か、隠している。」
「もう良い!分かった。行くから。」
「ふ~ん!やっと、その気になったのか。だったら、話が早い!フフフッ!」
「なっ!?何だよ、ニヤニヤして、気持ち悪いなぁ!」
「俺は良い事、思い付いたぞ!」
(李君は絶対、良からぬ事を思い付いたに違いない!)
(衣装の事なら、アイツに頼めば、必ず、用意してくれる筈だ。)
「あのさぁ、まさかと思うけど、大道寺さんに頼むつもりなんだろ?」

 輝は小狼に対して、呆れた顔で聞いた。

「それで、自分はやらないんだろ?って、聞いてるのか?」
「お前に拒否権は無い!という事で良いな、雨寺?」
「全然、良くない!この卑怯者!」
「俺の計画に変更は無いんだから!という事で宜しく。」

 小狼は自分の考えは曲げるつもりは無い。

2へ続く・・・。
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